【EB】夕暮れ

 ルーファスのプチSSです。7割くらい実話で構成されていたりいなかったり。

 書いているうちに「お家に帰ろう」がルーファスのテーマになることが多いことに気がつきました。
 そんなに奥さんのことが好きかくそぅ爆発しr

 夕闇迫る、街道の上。
 ルーファスは一人、帰路についていた。
 道はぬかるみ、足取りは重い。
 真夏の日差しに消耗した上に、途中で通り雨に降られ──もちろんレインコートは用意していたが、水溜まりに足をとられて靴が水没し──歩く度にじゅぷじゅぷと音を立てる靴が不快だった。
 「あー…………だりぃ」
 そもそも、割に合わない仕事だったんだよな。あんなとこまで出かけてきて、収穫ほとんどなかったし。その分報酬も値切られるに決まってるし。暑いし、濡れるし、あー、やってられん。
 ぼやきながら、惰性だけで足を前に出し続けた。
 ふと。
 視界に光が入り、見上げる。
 雨雲の隙間からわずかに顔を覗かせた、真っ赤な光がいっぱいに広がって、世界を鮮烈に照らし出していた。
 表と裏が入れ替わる、刹那の瞬間。
 薄ぼんやりと暮れなずむ、家屋と田の群々。
 その幻想的な光景に、目を奪われる。
 やがて、光は収束し、世界はゆっくりと宵闇に包まれていった。
 昔は、この瞬間がどうしようもなく怖かった。吸い込まれそうな気がしたのだ。表の光と共に、闇の中に。
 でも、今は。
 「…………。帰ろ。家に」
 待っててくれるやつがいる。それだけで。
 いつの間にか、靴の音がしなくなっていた。乾いたのだ。通気性の良い、濡れやすくても乾きやすい、そういう靴を選んでいたから。
 先程より、少しだけ足取り軽く。ザックを肩にかけ直し、ルーファスは歩速を早めた。

<END>

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